PMTCとは、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士などの専門家が専用の機械を用いて歯を清掃することをいいます。バイオフィルムを破壊・除去することで歯面にプラークがつきにくくなり、最後にフッ素の入ったジェルでコーティングするため歯質も強化され、お口の健康維持のための環境をつくれる処置であるといえるでしょう。 PMTCの効果としては、歯肉炎・歯周病・口臭予防・知覚過敏・虫歯の進行予防などがあげられます。日頃のブラッシングだけでは取れないタバコのヤニや茶渋などの着色も取ることができるので、審美的にも効果があり、ホワイトニング後のメインテナンスにも有効です。
治療をした歯を長持ちさせ、歯周病の進行を抑制するためにも、メインテナンスが必要になります。歯や歯の周りには「バイオフィルム」という細菌が作った膜が付着しています。この細菌は常在菌(常にお口の中に存在する菌)で、約8時間で3~200ミクロンのバイオフィルムが形成されるといわれています。このバイオフィルムはとても頑丈で、薬品を通しにくく、うがいをした程度では取ることができないため、歯ブラシなどによる機械的除去が必要になってきます。このように、お口の中を虫歯や歯周病の原因になる細菌が住みにくくなる環境にするためにも、PMTCを取り入れたケアが効果的です。

最近、インプラント希望の患者さんに多くなってきたのが、自分の歯と見分けがつかないように治して欲しいという要望です。でも、そのためには徹底した口腔清掃というちょっとしたハードルがあります。
おまじない一つで虫歯にも歯周病にもならなければ、歯なんて磨く必要がなくてこんな楽なことはないでしょうね。でも、現実は一日に何度も歯を磨かなければなりません。それは、インプラントでも同じです。今回は、そのようなインプラントのメインテナンスについてお話しいたします。
まず、基本的なインプラント治療について、復習しましょう。従来は歯が失われると、一般的に両隣の健康な歯を削ってセメントで固定するブリッジで治すか、または取り外し式の入れ歯を作って対応するしかありませんでした。その結果数年後には、ブリッジの土台に使った歯に虫歯ができたり、入れ歯を支えるために針金をかけた歯がぐらついてきたりして、また歯を抜かなければならなくなり、次第に入れ歯が大きくなるのが普通でした。このようなマイナス効果の治療に対して、歯が無くなってしまった部分の顎の骨に、人工の歯根ごと直接植え込んでしまおうというのがいわゆるインプラント治療で、これは噛める歯の本数を積極的に増やそうという、歯科では珍しいプラス効果の治療法といえるでしょう。
症例Aは20歳代の女性で、左上の中切歯が挿し歯だったのですが、
土台の金属が折れてしまって歯根を抜かなければならなくなりました。
【症例A】
ブリッジにするためには両隣の健全な歯を丸ごと削らなければならないため、インプラントを選択しました。どの歯が自分の歯で、どれがインプラントか判らないように仕上げることができました。
症例Bも20歳代の女性で、転んで前歯3本にひびが入り、そのうち右の中切歯は歯根の深いところまで割れてしまっていました。
【症例B】
そこで、左の中切歯と右の側切歯はやむを得ずセラミックの冠をかぶせて修復し、右の中切歯は抜歯しなければならなかったので、抜歯と同時にインプラントを植立しました。この症例も、どれがインプラントか判らないように治すことができました。
症例Cは50歳代の女性で、左上の犬歯が欠損していました。犬歯は歯根が太くて長く非常に丈夫な歯なのですが、一旦欠損してしまうと、そこを補うために両隣の歯だけでブリッジにしても、長年月の噛む力には耐えられません。そのため、土台にする歯の数を増やすことになるのですが、この症例ではまわりはすべて健全な歯で、患者さんも削られるのに抵抗を感じていました。
【症例C】
これらの症例のようにインプラントで審美的に治療するのは、様々なテクニックを駆使することによって、さほど難しいことではなくなってきています。むしろ難しいのは、審美的な状態をいかに長期間維持することができるか、ということです。植立した「人工歯根」のインプラントに上部構造として「歯」を装着しただけでは「仏造って魂入れず」で、肝心なのはその時から始まるPMTCを中心としたメインテナンスです。歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルのクリーニングと家庭での注意深い自己管理を継続して行うことで、「人工」のインプラントが「自分の歯」として機能し続けることができるのです。